皆さん、こんにちは。茨城県常陸太田市を拠点に、木造住宅の新築・リフォーム工事を手掛ける海老根工務店です。
断熱は、住まいの快適さや省エネ性に大きく影響する要素です。断熱には外断熱と内断熱の2種類がありますが、それぞれにどのような特徴やメリット・デメリットがあるのでしょうか?
この記事では、外断熱と内断熱の違いについて、またそれぞれの省エネ効果や注意点について徹底的に比較していきます。
■外断熱とはどんな工法のこと?
外断熱とは、住宅を作るときに建物の外側に断熱層を設ける工法のことで、外張り断熱とも呼ばれます。
建物を建てるときにはどうしても壁面にわずかな隙間ができてしまい、その部分から空気が入ったり出たりしてしまいます。隙間が大きい住宅では、夏場には屋外の暖かい空気が、冬には屋外の冷たい空気が室内に流れ込むことになります。
建物の外部からの熱を遮断して室内の暖かさや涼しさをキープすることを断熱と呼びます。隙間部分の熱損失を防ぐためにも、できるだけ隙間の少ない断熱住宅を建てることが肝心です。
住宅骨組みの構造材よりも外側、外壁のすぐ内側部分に断熱材を入れるのが外断熱の工法です。構造材の外側をぐるりと取り囲むように断熱材を入れるため、断熱材の切れ目が生じることはありません。これによって、高い断熱性や気密性を確保することが可能となります。
より断熱性能を高めるためにも、隙間部分が少なくなる外断熱の工法をぜひ採用しましょう。
・内断熱と外断熱は何が違う?
現在建てられている日本の住宅のほとんどは内断熱工法で作られています。
内断熱とは、住宅の骨組み部分の内側に断熱材を入れる工法のことで、内張り断熱または充填断熱とも呼ばれます。
内断熱では柱と柱の間の壁部分に断熱材を設置し、室内の断熱性や気密性を高めていきます。断熱材を手軽に設置できることや、使用できる断熱材の種類が豊富なのが内断熱の魅力です。
ただし、内断熱では柱の部分に断熱材を入れることができません。また、柱と断熱材の間の部分にもわずかな隙間ができてしまいます。さらに、筋交いやコンセント、配管などの部分でも断熱材を薄くしたり隙間を作ったりする必要があるため、トータルの断熱性能がかなり下がってしまうおそれがあります。
内断熱には壁内に湿気が溜まって結露が生じるという問題点もあります。結露した状態が続くと壁表面や壁内にカビなどのトラブルが起きやすくなるので、十分な注意が必要です。
■外断熱のメリットとデメリット
外断熱と内断熱にはそれぞれ異なるメリットとデメリットがあります。まずは外断熱のメリットとデメリットについて考えていきましょう。
・外断熱のメリット
外断熱のメリットとして、高い気密性を確保できるという点が挙げられます。
気密性が高ければ、室内の暖かい空気や涼しい空気を長くキープできるので快適に暮らせます。エアコンの効率も飛躍的に高まり、光熱費をグッと抑えることが可能となります。
外断熱工法を採用した住宅には、防湿性が高いという特徴もあります。
高温多湿な日本では、室内に生じた湿気を原因とする結露に悩まされるケースが多いものです。湿気によって室内に結露が起きるとカビやダニも発生しやすくなり、次第に住宅の劣化が進んでしまいます。
しかし、外断熱の住宅はそれほど結露が起きません。
外断熱の住宅に結露が起きにくいのは、駆体内部の通気がいいためです。内断熱の建物では壁内結露が起きることがありますが、外断熱であればこういった問題が起きる心配もそれほどありません。
窓や柱、梁などに結露が起きにくい建物には劣化も進みにくいため、数十年、あるいは100年以上という長い期間にわたって快適に暮らすことができます。
・外断熱のデメリット
外断熱の建物にはメリットが多い一方、施工のコストがかさみやすいというデメリットも考えられます。外断熱は断熱材として使える素材の種類が限られているため、どうしても材料費や施工費が上がってしまいます。
また、外断熱は内断熱と比べて外壁がやや厚くなることから、土地が限られている狭小住宅の施工に取り入れると住宅がさらに狭くなってしまうという問題もあります。
外断熱を検討する際には見積もりを取って費用を確認したり、どの程度外壁が厚くなるのかを間取り図でチェックしたりしておくのが安心です。
■内断熱のメリット・デメリット
続いて、内断熱のメリットとデメリットをチェックしていきましょう。
・内断熱のメリット
内断熱には、施工コストが低く取り入れやすいというメリットがあります。現在建てられている住宅の多くは内断熱工法を採用しているため、工法が確立されており容易な施工が可能です。
断熱材にはさまざまな種類がありますが、中には外断熱の施工にあまり向いていないものもあります。しかし内断熱であれば外壁の厚さや素材の影響を受けずさまざまなタイプの断熱材を使用することが可能です。施工やデザイン性の自由度が高いのは、内断熱ならではのメリットといえるでしょう。
・内断熱のデメリット
内断熱の施工には、十分な断熱性や気密性を確保できないという問題点があります。
内断熱は構造物の柱と柱の間に断熱材を埋め込むという形で施工します。外断熱であれば建物全体を隙間なく包み込む工法を採用できますが、内断熱は柱の周辺で断熱材に隙間ができてしまうことがあるのです。
結果としてこの部分から室内に熱い空気や寒い空気が流れ込んでしまい、断熱性能が下がってしまうリスクがあります。特に、鉄筋コンクリート造の住宅で内断熱を採用すると、かなりの熱損失が起こってしまいます。
内断熱の工法には、断熱材の隙間部分から外気が入って結露が起きるというデメリットも考えられます。結露が発生すると柱や梁にダメージが及び、建物の耐久性が大きく損なわれてしまいます。
■まとめ
外断熱と内断熱はそれぞれにメリット・デメリットがあります。
例えば外断熱はコストが高い傾向にありますが、長期的にみると光熱費の削減効果が高いといえます。内断熱は低コストで施工できる一方、ランニングコストがかさむおそれがありますし、結露トラブルに悩まされることがあるかもしれません。高温多湿な日本でより快適に暮らせる住宅を作りたい方には、外断熱の住宅がおすすめです。
住宅を建てるにあたってどんなポイントを重視するか、気密性や断熱性に関するどんなお悩みを解消したいかを考え、自分の住まいに合った施工方法を選びましょう。
海老根工務店は住宅の断熱に関する幅広いご相談に応じている専門業者です。
当社に「外断熱と内断熱ではどちらがいいの?」「費用対効果が高いのはどちら?」と尋ねられるお客様は多いものです。
現状、外断熱工法を採用して建てられた住宅はそれほど多くありません。これは、建築時の費用が内断熱に比べて多少高くつくことが原因と考えられます。外断熱工法の断熱材にはプラスチック系のものが使われますが、これはグラスウールなどの内断熱工法断熱材に比べて価格が高いため、どうしても建築費用が高まってしまうのです。
しかし日本は高温多湿の気候ですから、結露が発生しにくく、室内温度も均一になりやすい外断熱工法はうってつけといえます。内断熱工法は施工の初期費用が比較的安いですが、結露で傷んでしまい早い段階で建て替えが必要となってしまいます。
これから住宅を建てるのなら、100年以上も長持ちする外断熱工法の住宅をぜひお選びください。